非常に良好。問題ない。
裏面の左中央にサイン、制作年。

インドネシア出身の現代アーティスト、ロビィ・ドゥウィ・アントノ（1990-）は、シュルレアリスムやポップアートの文脈を引き継ぐ独自のスタイルで知られている。作家の作品には、ポップカルチャーやアニメ、ゲームといった幼少期の記憶の断片が取り入れられ、子供や動物といったシンボルを通じて、純粋さや無垢さ、成長や喪失といったテーマを探求している。柔らかなパステル調の色彩と繊細な筆致で描かれたモチーフは、ノスタルジックでありながら、不安感を伴う独特の雰囲気を醸し出している。2022年には、NANZUKA UNDERGROUNDで大規模な個展を開催した。

本作品は、シュルレアリスティックな作風が体現され、感情的かつ象徴的な表現が際立っている。描かれた子供のようなモチーフの無垢さと脆さが目を引く一方で、表情には深い悲しみや内面的な苦悩が反映されている。タイトルの「Lirih」はインドネシア語で「ささやき」を意味し、作品全体に静かでありながら強い感情が込められている。繊細な色彩と、リアルでありながら幻想的な描写が現実と幻想の境界を曖昧にし、作家独自の世界観が観る者に深い感情的な体験をもたらしている。

作家より直接取得
個人蔵