良好。
各作品の裏に作家によるサイン、刻印された作家名、制作年、エディションナンバー。
[3] 青で塗装された作品の右上、右下、左下の角に若干のアタリあり。

版元: Peder Bonnier (ニューヨーク)

物質性とミニマリズムに着目し、戦後アメリカ美術に変革をもたらしたドナルド・ジャッド (1928 - 1994)。ジャッドは、自著『スペシフィック・オブジェクト (明確な物体)』(1965年) の中で、現実の空間ではない、作られた空間を描きだす幻想的な芸術の追求を弾糾するなど、ヨーロッパの歴史的な慣習を否定する芸術を提唱する。そして鑑賞者に空間の中で自らの身体性を考えさせるような、空間を占有する作品を制作するようになる。ジャッドの作品は、絵画と彫刻、概念と人工物、そして家具と芸術という分類へと挑戦を促す。ミニマリズムの中のシリアリズムの理論に焦点をあてたこれらの後期作品は、体系的に制作され、配置されたオブジェクトは、他のオブジェクトとの関係性によってそれぞれの意味を持つようになる。
本作品《Untitled》の原色は、配置されてはじめて理解できるもので、いずれかの色が欠けると、その部分の文脈が取り除かれる。各要素が作品にとって不可欠であり、そこには平等への挑発的なる声明と非階層的な構造の表現が存在する。オブジェクトが同一の外観をなすことで、それぞれのバリエーションが強調され、個性が高められるのである。

「Donald Judd: Prints and Works in Editions」Edition Schellmann、1993年、p.150-151、no.14-16