- CONDITION
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良好。
裏に経年によるシミがあり。2006年に作家本人による修復あり。
裏の左上にサイン、制作年。裏の右下にサイン、修復年(2006)。
- DESCRIPTION
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沈崇道 (1938 - ) は、中国出身の芸術家である。沈は浙江美術学院 (現中国美術学院) の油絵科を卒業後に上海美術設計公司に入社し、1963年から78年までの間、中国共産党幹部の肖像画の制作に従事した。当時、共産党幹部の肖像画制作は厳しく制限されており、同社は肖像画の製造が認可されていた数少ない会社のひとつであった。沈の任務は上海人民広場の上海市政府庁舎に設置されていた毛沢東の肖像画の制作であり、毎年国慶節の季節になると広場にある高さ9メートルの肖像画の塗り替えを任された。1978年に同社の肖像画制作部門が再編されると、沈は退社するまで広告に使用する絵画の制作に従事する。その後、上海美術設計公司を退社後に毛沢東の肖像画の制作を再開する。
本作品は、その一環で1994年に制作され、2012年に東京画廊で開催された、沈崇道個展『毛沢東肖像画』で発表された作品であり、優しく穏やかな目線でこちらを見つめる、豊かな表情の毛が描かれている。沈だけに留まらず肖像画制作に従事していた文革時代の画家達は自身の創造性を作品に投影することを許されていなかった。本作品に描かれる毛には文革時代の肖像画には見られなかった沈の私的な感性も含まれており、崇高ながらもこちらを見つめる毛の眼差しにはどこか温かみがあり、そこには当時中国が思い描いたであろうユートピアに対する沈自身の追想の眼差しが伺える。
- PROVENANCE
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東京画廊 + BTAP、東京
- EXHIBITED
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「毛沢東肖像画」2012年9月8日 - 9月29日、東京画廊 + BTAP、東京