- CONDITION
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良好。
底部にサイン、タイトル、制作年。
- DESCRIPTION
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1960年代から70年代にかけて筆頭したミニマリズムやコンセプチュアリズ ム、もの派といった潮流によって解体された彫刻。彫刻家の戸谷成雄 (1947-) は、「つくる」行為を真っ向から否定された彫刻と再び「制作」す ることで向き合うことを選んだ作家の一人である。愛知県立芸術大学で彫刻 を学んだのち、年代より本格的に活動を開始。そのスタイルは《竹藪》 や《《境界》からV》にみられるように、一貫して彫刻の構造をとおして人 間の在り方と向き合う姿勢がうかがわれる。
本作品《森》は、戸谷が1984年より取り組み続けている《森》と題したシ リーズの一環として、1987年に制作された。削りくずを燃やすことで灰化 した粉と混ぜ合わせた絵の具が、刻まれた木肌の先端を保護するかのように 包み込む姿が特徴的である。戸谷は、1980年代前半の《《彫る》から》シ リーズの頃より、直方体の木に斜めの視線を取り入れるにはどうしたらいい のか、という素朴な問いを行動で模索するかのように、制作に電動チェーン ソーを用いるようになる。刃で表面を削ると、削られた箇所はマイナスとな り、元の表面がプラスとして浮かび上がる。この凸凹の現出を繰り返すこと で、森は外部である表面からその内部構造を露わにしていく。そして露わに なった内部構造は、空間に並ぶことで斜線の束としての「森」を作り出す。
「森の中を歩いていると絶えず何ものかに見られている感じがする。それは、 さえぎるもののない平地で正面から一対一で対峙する視線ではなく、ありと あらゆる方向からくる気配のようなもので、人間のものばかりではない。私 の方も、その気配としての 視線を見返すように、足元、こずえ、木々の隙 間、斜面の下方、上方などのあらゆる方向に視線を移動させながらも、決し て目と目とがぶつかり合うような裸形の対峙をしないでさまざまな視線に対 し心を開かなくてはその場にいられない気持ちになってくる。これは垂直― 水平という二元的視線ではなく斜線の束として表現されるものである。」
戸谷にとっての本作は、この多様な価値観が錯綜し、絡み合いながら作り上 げる全体としての「斜線の束」を表したものなのであり、本作は、戸谷の制 作の主題でもある彫刻が内包する存在論的問いに対する堅実な対峙の姿勢が 現れたとても重要な作品の一つである。
- PROVENANCE
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佐谷画廊 (東京)
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