良好。
裏の右上にサイン、制作年。
概ね良好だが、四方角と中央左右上下に波あり。

シカゴを拠点に活動をするアメリカ人芸術家ウィリアム・J・オブライエン（1975 - ）は、セラミック、絵画、ドローイング、彫刻からインスタレーション作品まで複数のミディアムを横断しながら制作を展開する。その多岐にわたる実践の中でも、ドローイングとセラミックは、オブライエンにとって最も中心的に軸を置くものであり、オブライエンは自己の中で会話をするかのように、ミディアム間を交差しながら作品を制作していく。即興的で抽象的な要素を持つ作品の根底には、美術史、民族史、伝統工芸、ポップカルチャー、クイアアイデンティティなど様々な文化的側面からの影響が強く見られる。

本作品《Untitled》は2007年に制作された作品であり、黄色と灰色のパッチワークのように広がる幾何学模様が特徴的である。シンプルな図形を繰り返し描くというルールの中に即興性を交えることで構成される作品スタイルは、幼い頃からシステムや論理といった科学や幾何学に関する主題に強い興味関心を寄せていたオブライエンにとって、自然な流れで辿り着いた実践方法といえる。本作品は、初期の段階に制作されたドローイング作品であり、現在にも引き継がれているオブライエンの芸術に対する強い信念を伺わせる。

ギャラリーミンミン (東京)