良好。
裏中央にサイン、制作年。
所々に擦れやシミあり。

ニューヨークを拠点とするシカゴ生まれのルース・ルート (1967-) は、シカゴ美術館附属美術大学で美術修士号を修了後、アメリカの抽象芸術および非具象絵画の第一人者として活躍している。絵画の物質性や形態を問い直す作家として知られるルートは、大規模なアルミニウム板を基盤に油彩で作品を制作している。色彩豊かな幾何学的な形態は、アルミニウム板の不規則な形状を模倣したり、形状との対比を成したりしている。このアプローチにより、作品内の形状間に遊び心あふれるニュアンスを持つ構図が生み出されている。

この非常に薄いアルミニウム板が、従来の紙、キャンヴァス、木材といった支持体では実現が難しい構造的に独創的な形状を可能にしている。また、壁にぴったりと吊るすことができるこのアルミニウム板は、展示空間における構造的な介入としても機能を果たす。こうした作品群は、イメージ、支持体、展示形式の複雑な相互作用により「平坦化 (2次元化) された彫刻」と評されることもあり、文化的および社会的な「平坦性」に関する国際的な議論とも関連している。アルミニウム上に大胆な色彩を重ねた《Untitled》は、ルートのスタイルを典型的に示す作品であり、都市景観やデジタルのグリッチを思わせる印象を与えている。