- CONDITION
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非常に良好。問題なし。
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ベルリンを拠点とする日本の現代美術家・塩田千春(1972-)は、記憶、不安、夢、沈黙など、形のないものを表現するパフォーマンスやインスタレーション作品で知られている。個人的な体験を出発点としながらも、彼女の作品はアイデンティティ、境界、存在といった普遍的な概念を問い、世界中の幅広い人々を惹きつけてきた。2015年には第56回ヴェネチア・ビエンナーレの日本館代表に選ばれ、2019年には森美術館で大規模な個展を開催した。
子供靴が重要な象徴として使われているシリーズ「トラウマ/日常」は、個人の内面に潜むトラウマと、それが日常にどう影響を与えるかを表現した立体作品である。黒の糸で絡み合った空間に存在する子供靴は、幼少期の記憶や無垢さを象徴し、トラウマが人生の初期段階から影響を及ぼすことを示唆している。靴は日常生活を表す一方で、絡まる糸が心の不安や葛藤を視覚化し、日常とトラウマが密接に繋がっていることを描き出している。この作品は、観る者に無意識の傷とそれが日常に与える影響について考えさせる。
- PROVENANCE
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Galerie Christophe Gaillard (パリ)