良好。
中央右に若干の波打ちあり。
額裏から外していないため、裏面全体は未確認。

KAWS(1974-)として知られ、アメリカの現代アーティスト兼デザイナーであるブライアン・ドネリー。1990年代に「仲間」という意味を持つキャラクター「コンパニオン」を、バスや電車などの広告に描き加えて改変し、企業広告のメッセージを再構築することで注目を集めた。その後、ハイブランドとのコラボレーションや美術館での収蔵を通じて、アートの定義を拡張した。ディズニーや漫画から影響を受けた「コンパニオン」と呼ばれるキャラクターは、現代社会のムードを漂わるやんちゃでありながらどこか鬱っぽさを感じさせ、孤独や自己消失といった、常に再生産される憑依的な現代的テーマを反映している。

本作品は、作家の初期キャリアにおける代表的なアートワークの一つである。ニューヨークの街中にある広告ポスターやバス停の掲示板などの公共スペースを利用し、既存の広告に彼自身のアートを重ねる「アドバスター」的手法を取り入れている。KAWS独自の手法で既存のモチーフに「コンパニオン」を付け加え、オリジナルの意味を変えることでナラティブを再構築し、消費社会やメディアへの風刺を暗示している。この時期の作品は、ストリートからギャラリーへの移行を予感させ、ポップアートとファインアートの境界を曖昧にするKAWSのスタイル確立に貢献した。