- CONDITION
-
非常に良好。問題なし。
右下にサイン、タイトル、制作年。
マットに両面テープで貼られているために裏は未確認。
- DESCRIPTION
-
1980年代初頭にそのデビューを華々しく飾って以来、多層的なコラージュ絵画、映像からノイズ・ミュージックまでさまざまなミディアムで制作を行なってきた大竹伸朗 (1955 - )。大学時代には、学校を休学し、北海道の牧場で無休、無給、住み込みで働いたのちに写真やスケッチをしながら各地を巡ったりと、大竹の制作におけるそのユニーク性は、権威に固執しない、当たり前の日常の中でアートを生み出すことにあると言えるだろう。1993年真夏、大竹は、スペインの南部に位置するアルヘシラス港発のフェリーに乗りモロッコの北端にある街タンジェへと向かう。大竹は、そこから11日間にわたって色鉛筆とスケッチブック、そしてカメラを持ち歩き、街中で見かけた人や物、その時々の瞬間を実録しながらアシラからフェズ、マラケシュへと南下していく。その旅路で大竹が目に焼き付けた光景は、200枚のドローイングスケッチという形となり、大竹の〈描くこと〉に対する情熱を芸術という産物へと変換させた。帰国後の1994年、大竹はその一部を同旅中のエッセイ本『カスバの男』の挿絵として発表。
本作は、1993年の上述の旅中に描かれた莫大なスケッチ作品の一部であり、風になびく旗や街中にある権威的な肖像など、その一枚一枚には、大竹が自身の網膜に焼き付けていったであろうモロッコの雑踏な空気感がそのままに定着している。
- PROVENANCE
-
ベイスギャラリー (東京)