- CONDITION
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良好。
台紙の中央右下にサイン、制作年、左下にエディションナンバー。
表面に若干の波打ちあり。台紙に複数のブラウンスポットあり。
マットにマウントされているため裏は未確認。
- DESCRIPTION
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版元: Documenta GmbH (カッセル、ドイツ)
旧東ドイツ出身の著名なアーティスト、ゲルハルト・リヒター (1932 - ) は、現代美術とアートマーケットにかつてない影響を与えてきた。ケルンを拠点とするリヒターは、これまでに世界中でその作品を発表しており、その多様なスタイルは、1960年代から絶えることなくコンセプチュアルで創造的な発展を遂げてきた。彼の制作は写真を軸としており、初期の作品において、イメージの構造的完全性というものへ疑問を投げかけている。そこで、リヒターは、イメージをぼかすことで、偶発的で躍動的な新しい構図を創案する。やがて彼は、写真が持つ複製性と塗られた絵具が持つ独特の物質性を対比させたいと考えるようになる。リヒターにとって写真とは、あくまで現実を描写するものであり、現実を内包するものではなかった。現実を内包しない写真に対し、ペインティングには、制作時におけるその一筆一筆に真実と現実が宿っていた。リヒターの手によって絵具が塗られることにより、ある瞬間を捉えただけの構造主義的なカタログに過ぎなかった写真にエネルギーと命が吹き込まれている。
本作品《Kassel》シリーズは、5年に一度開催されるドクメンタ展の第9回目のために、1992年に制作されたもので、カッセルのスカイラインが映しだされた写真の上に絵具が施されている。ドイツのカッセルで開催されたドクメンタIX展のほか、本作は、数多くの国際展で出展されている。
- PROVENANCE
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Wako Works of Art (東京)
- EXHIBITED
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「Résumé - ゲルハルト・リヒター」展、2018年8月20日 - 9月15日、The Mass (東京)