右下にサイン、制作年、エディションナンバー。
左上、右上の余白部に所々シミあり。
左上下、右下にシワあり。
右下に小さな剥がれの跡あり。

版元: George Mulder Fine Art (ニューヨーク)

アメリカで最も著名なポップアートの実践者であるキース・ヘリング (1958 - 1990) とアンディ・ウォーホル (1928 - 1987) の交わりを象徴する《Andy Mouse》シリーズ。4点からなる本シリーズは、両者の共作ではないが、ウォーホルがポップアート界にもたらしたその影響力を讃えるために、ヘリングによって制作されたオーデ作品集である。作中でミッキーマウス風のキャラクター〈アンディ・マウス〉に変身したウォーホルのその風貌は、ミッキーマウスの持つ普遍性と魅力がそのまま彼自身へ憑依したことを黙示する。
本作品では、アンディ・マウスが1ドル紙幣の中に描かれている。ヘリングにとってのウォーホルとは、アメリカンドリームの象徴であり、その功績は世界の文化意識に揺るぎない普遍性をもたらした大いなる存在であった。その思いは、アメリカ文化にとっても大きな意味合いを持つディズニー、とりわけ両作家のポップ・アイコンとして機能していたミッキーマウスを用いることによって、ウォーホル自体が、アメリカ文化の一部へと取り込まれていったことを意味する。ヘリングらしいエネルギッシュな色彩で描かれ、顔のない人型など特筆すべきモチーフを備える本作は、1980年代のセレブリティ、アイコン、金、名声に対するその無我夢中な貪欲さが凝縮された、美しいポストモダンの作品である。

Hokin Gallery (フロリダ)

「Keith Haring 1982-1990: Editions on Paper - the Complete Printed Works」、Hatje Cantz、1993年、p.65