- CONDITION
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良好。
各角に若干のシワあり。
- DESCRIPTION
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榎倉康二 (1942 - 1995) は、1968年、東京藝術大学大学院美術研究科油画専攻を修了後、1971年、第7回パリ青年ビエンナーレにて優秀賞(留学賞)、1978年、第38回ヴェネチア・ビエンナーレ出品など、弱冠36歳の若さで国内外で高い評価を得る。1970年代初頭より、油を染み込ませた紙や布、フェルト、革などを用い、物質の浸透から作家の時間的存在や身体性を追求すると同時に、カメラの特質を通じて「私」の存在する位置を確認し世界を認識しようとする姿から自身の身体と場所との関係性を問題提起してきた。
本作品《予兆ー床・手》(1974) は、カメラが捉えた「瞬間」から生成される、不確実な未来を予測しようとする私たちの意識に内在する観念や先入観の情報を問う皮膚にまつわるシリーズ《予兆》の一作である。《予兆ー床・手》は、手が床に触れようとしたときに、手と床の間に生じる「間」を題材とした作品といえる。「接触」をミクロに捉え、事物の物質性を顕現することで、主体と客体という支配的な関係を超えて、より直接的に身体感覚で物と対峙する。
本作品が誘発する肉体が物体に対峙したときに生じる緊張感は、身体性や自己概念を物の背後に隠された未知の世界へと還元するよう私たちを誘う。
- PROVENANCE
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作家から直接取得
- LITERATURE
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「榎倉康二・写真のしごと 1972-1994」斎藤記念川口現代美術館、1994年、p.14、no.6
- EXHIBITED
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「榎倉康二 ある一つの日本の例 」1974年、アーヘン市立美術館 (アーヘン、旧西ドイツ)
「幻境遊離只姿展」1985年、ギャラリー21 (東京)
「写真で語る 」1988年、東京藝術大学大学美術館陳列館 (東京)
「TAMAVIVANT ’92 」1992年、シブヤ西武シードホール (東京)
「榎倉康二・写真のしごと1972-1994」1994年11月12日 - 1995年1月22日、斎藤記念川口現代美術館 (川口)