非常に良好。問題なし。
裏の右下にサイン、制作年

東京藝術大学卒業を経て、ロンドン芸術大学チェルシー・カレッジ・オブ・アートでMFA (美術学修士) を取得。現在は、ロンドンを拠点に自身の絵画作品の制作を行う現代美術家・猪瀬直哉 (1988 - )。幼少期にみた、SF映画や特撮のマットペイントに感銘を受け、アーティストを目指すようになった経緯がある彼は、2020年の六本木・THE CLUBでの個展「TIMELESSNESS」をはじめ、イギリス、中国、マルタ共和国など国内のみならず世界を股にかけ精力的に作品を発表。作品収蔵先には、高橋コレクションやベネトンコレクションが挙げられ、猪瀬は、国内外のアートシーンで注目される日本人作家のひとりと言えるだろう。

本作品《Stella Maris》(2015) もまた、そんな彼の色が濃く反映された作品だ。まるで我々が生活するこことは若干の異差がある何処かの風景を写し出したような油絵が発するメッセージは、作品と向き合う人によって無限の想像を託してくれるだろう。現地取材のもと選択された風景モチーフを自身のイマジネーションでコーティングし完成される作品群。それらは19世紀より受け継がれるロマン主義的な精神性の継承と同時に、それまで定式化されていた「美」としてのアートと「崇高」としてのアートを統合するピクチャレスクとしての側面を持つ、現代美術家ならではのこれまでにない新しい表現として感ずるにはいられない。

作家から直接取得
個人蔵