非常に良好。問題なし。
裏の右上にサイン、タイトル、制作年。

国内若手作家の中でも特に絵画表現に秀でたアーティストとして、今津景 (1980 - ) は、常に注目されている人物だろう。多摩美術大学在学中から制作をスタート。Photoshopとインターネット上にある情報や素材を再構成するプロセスを生み出した彼女は、「絵画」という存在に内包される意味を精力的に探求し続けている。絶妙な色彩と抽象と具体を行き来する平面構成で、みるものに絵画表現の新しい価値を見出す彼女の作品群。彼女による作品及び展覧会は、その都度進化するスタイルや、展示の仕掛けやテーマにより多くのアートファンの耳目を集めてきた。これまで「VOCA 2009」での佳作賞受賞をはじめ、2013年には絹谷幸二賞奨励賞の受賞、2017年にはアメリカ・ミネアポリス美術館に4メートル超の作品が収蔵されるなど、国内に留まらず他国のアートシーンでも実績を上げている。

本作品は、そんな彼女が大学在学中の2008年に、丁度、現在の独自プロセスを生み出す過程段階で制作されたものである。コラージュのように多様なイメージを用いて描かれる作品は、近年話題に上がるMidjourneyをはじめとするAIアートなどとも似ても似つかない、アーティストの視覚、触覚などの感覚を通じて意識に表われるもの故の恣意的に描かれるただひとつの作品として解釈できるだろう。

Noda Contemporary (名古屋)

「今津景 個展」2009年9月11日 - 11月15日、Noda Contemporary Beijing (北京)