- CONDITION
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良好。
所々に制作時に付着したペイントの跡があり。木の先端にペンキが剥がれた跡あり。
裏の上部にサイン、タイトル、制作年。
- DESCRIPTION
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菅木志雄 (1944‐) は1970代前後に登場した「もの派」の代表作家。評論家・峯村敏明は、この「もの派」を「芸術表現の表舞台に未加工の自然的な物質・物体 (以下「モノ」) を…登場させ、モノのありようやものの働き方から直に何らかの芸術言語を引き出そうと試みた一群の作家たち」と定義している (『もの派』鎌倉画廊 1986)。〈上げ下げ窓〉の窓を支えるように角材を立てかけただけの初期の代表作《無限状況》(1970) が示すように、菅は、現在に至るインスタレーション作品で、モノを人の主観の対象や芸術表現のための手段から解き放ち、「モノにはなくてはならないもの」、即ち「モノの状態」(1969、菅) を可視化させる様々な試みを行ってきた。「モノをモノたらしめる状況をつくることが思考の発端である」(1979、菅)。
本作品は、彼の立体的インスタレーションと並行して制作されてきた壁面作品中の1点。矩形のボードの底に棚板が付けられ、この棚板に3本の棒がボードに立てかけられるように設置されている。3本の棒は緑色のペンキが塗られ、右端の1本は他の2本と頭を揃えながら、棚からはみ出している。見る者の視線の先にあるのは、限りなく二次元に近い棚という三次元空間における時間的経過の状況。作者が付けた題名《場用果》の一字一字が本作品解釈への糸口を作る。