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良好。
作品は全体に細かいほこりが付着している。
裏の左下にサイン、制作年、タイトルあり。
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高松次郎 (1936 - 1998) は、東京藝術大学卒業後の1961年、第13回読売アンデパンダン展に出品し、作家としての経歴を開始する。最初期の高松は、1962年の中西夏之らとのハプニング『山手線事件』や、1963年結成の芸術家集団「ハイレッドセンター」のイベント《ミキサー計画》(1963)、《シェルター計画》(1964) などの反芸術的活動で注目を浴びた。その一方で、高松の活動を生涯にわたって貫いたものは、1961年からの『点』、1962年からの『紐』、1966年からの『遠近法』、1969年の『単体』などの作品シリーズが示す、造形芸術の基礎的概念をめぐる一貫したコンセプチュアルな問いかけであり、その視覚造形化の試みである。
高松が1964年から開始した『影』シリーズは、生涯にわたり制作が続けられ、特に、このシリーズ中の『赤ん坊の影』作品群は彼の代表的作品群として知られている。この『影』シリーズで描かれるのは「物」や「人」の影に過ぎず、主題となる現実の「物」や「人」は二次元の画面に描かれた影を通して暗示されるに過ぎない。高松は、この「影」のモチーフを基に様々な展開も試みている (環境芸術あるいはJ・ジョーンズに因むものなど)。本作品は、この『影』シリーズ中の晩年作。「鉛筆と手」というモチーフから、高松の作家としての自己省察的な側面を窺うことが出来る。