- CONDITION
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裏面左上にサイン、タイトル、制作年の記載あり。
所々に経年によるひび割れとほこりの付着あり。
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1980年代の西ドイツに現れた新表現主義の潮流「ノイエ・ヴィルデ(新しい野獣派)」の中心人物として知られるヘルムート・ミッデンドーフ(1953-)は、ドイツ北西部ディンクラーゲに生まれた。1973年から79年までベルリン芸術大学で、ベルリン新表現主義の父と呼ばれるカール・ホルスト・ヘーディケに師事し、在学中の1977年にはフェッティング、サロメ、ツィンマーらとともに自主運営の「ギャラリー・アム・モーリッツプラッツ」を設立する。概念芸術の禁欲に対する反動として絵画の復権を掲げたこの画廊こそが、ノイエ・ヴィルデの発火点となった。1980年にベルリンのハウス・アム・ヴァルトゼーで開催されたグループ展「Heftige Malerei(激しい絵画)」で一躍注目を集める。クロイツベルクのクラブ「SO36」で踊る人々の痙攣的な動きやロック歌手の姿を原色と奔放な筆致で捉え、それらを現代の聖像へと変えた画家として、国際的な評価を確立した。1984年にはニューヨーク近代美術館の国際展「An International Survey of Recent Painting and Sculpture」にも出品された。ソロモン・R・グッゲンハイム美術館(ニューヨーク)、ポンピドゥー・センター(パリ)、シュテーデル美術館(フランクフルト)など、欧米の主要美術館に作品が収蔵されている。
本作《Frommlet》は、まさにその1984年、230×180cmの大画面に油彩で描かれ、ベルリンの夜の文化に映る現代の生のあり方を捉えた一点である。深い群青の闇から赤と黄の身体が浮かび、腕は高く振り上げられ、いまにも太鼓を打ち下ろそうとしている。画面上部に散る赤い光の粒と、斜めに走る黄の帯は舞台照明を思わせ、冷たい青の闇に赤や黄の熱がぶつかりあうなかで、人物の輪郭は次第に色と筆の動きへと溶けてゆく。垂れ落ちた絵具の筋がそのまま拭われずに残されることで、作家自身の身体の動きまで伝わってくる。そこに描かれるのは個人の肖像ではなく、名前や時間を越えて残る、ひとつの身体の痕跡である。祝祭が担ってきた境界空間を引き受けるナイトカルチャーを背景に、群青の夜のなかから立ち現れる身体は、見る者のなかにある生の感覚を呼び起こす。
- PROVENANCE
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長谷川美術館 (静岡)


