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良好。
額裏のラベルにサイン、エディションナンバー。
額から外していないため裏は未確認。
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ドクメンタは、ヴェネツィア・ビエンナーレと並ぶ世界有数の国際美術展として知られているが、各回のドクメンタに参加した作家の作品を収めた版画ポートフォリオが刊行されている。本作は、2002年のドクメンタを記念して制作されたポートフォリオに収録された一点であり、モルモン教の神殿内部にある結婚式用礼拝堂を捉えた監視カメラ写真をもとに制作され、この礼拝堂は通常、教会の信徒以外には公開されない空間であり、本作はそうした「見ることが制限された場所」を題材に、制度的権力や視線の倫理といったタイマンスの関心を反映している。秘匿された宗教的内部空間を、媒介された距離あるイメージとして提示する点に特徴がある。像は意図的にぼかされることで、秘密性や監視、そして受動的な観者の立場といった主題を強調している。フレームを含む構造全体が作品として構成されており、視覚的な抑制と心理的な不安感のあいだにある、タイマンス特有の緊張関係を保っている。
3Dコラージュによるデジタルプリント作品である。同展に出品されたリュック・タイマンスの同名のペインティングをもとに制作された。サンドブラスト加工を施したアクリル板にイメージを刷り込むという、手の込んだ技法による作品であり、流通量の少ない希少なエディションとしても注目される。
アントワープ現代美術館(Museum of Contemporary Art Antwerp)によれば、本作は信徒のみが見ることを許される神殿内礼拝堂の監視映像に由来するイメージを用い、宗教儀礼や制度的権威をめぐる倫理的・知覚的問題を問いかけるものとされる。控えめでありながら不穏な印象をもつ本作は、監視が遍在する現代社会を示唆すると同時に、夢のような曖昧さを保ちながら観者に思索を促す。

