- CONDITION
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良好。
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岡﨑乾二郎(1974-)は、日本を代表する造形作家のひとりである。1981年、村松画廊での初個展「たてもののきもち」において発表された〈あかさかみつけ〉シリーズで一躍注目を集めた。本作《おかちまち》は、その翌1982年に南天子画廊で発表された初期の貴重な一点であり、作家の原点を示す重要作といえる。
岡﨑の初期を代表する〈あかさかみつけ〉シリーズは、洋服の型紙から抽出されたラインやシェイプをもとに、ポリエチレンを切り、折り、彩色して構築されたレリーフ作品である。裏表で色分けされた平面が折り紙のように立体的に組み上げられ、「おかちまち」「かっぱばし」「そとかんだ」といった東京の地名を冠するタイトルは、地下鉄網を思わせる都市的な構造を象徴する。鑑賞者が角度を変えるたびに色彩と形態は自在に呼応し、パズルのような構築性が視覚的な快楽と知的興奮を同時に喚起する。
世界を捉える私たちの認識そのものを更新すること――岡﨑にとっての「造形」とは、その可塑性を実践的に解き放つ試みである。本作は、初期における実験精神と思想の萌芽が凝縮された一点として、今日あらためてその意義を静かに物語っている。長く手元に置き、その変化を味わいながら向き合っていただくにふさわしい作品といえるだろう。
- PROVENANCE
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南天子画廊 (東京)
M画廊 (栃木)
個人蔵

