- CONDITION
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良好。
裏にサイン、タイトル、制作年、エディションナンバー
- DESCRIPTION
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アメリカ・ニューヨーク出身の現代美術家でありるアンドレス・セラーノ(1950–)は、宗教、死、セクシュアリティ、暴力といったタブーを扱う挑発的な写真作品で知られる。1987年の代表作《Piss Christ》は、イエス・キリスト像を作家自身の尿に沈め撮影したもので、宗教的冒涜として全米で激しい論争を巻き起こした。この作品をきっかけに、アートと検閲、信仰と表現の自由をめぐる社会的議論が広がることとなった。作家は一貫して「現代における神聖とは何か」を問い続け、作品を通じて倫理と美の境界を鋭く揺さぶる。
作家の「体液シリーズ」の代表作のひとつである本作品は、シバクロームによる大判カラー写真である。タイトルが示す通り、血液を素材として撮影された本作は、深紅が溶け合う抽象的な構図の中に、生命と死、神聖と穢れ、美と嫌悪といった相反する概念を同居させている。1980年代の保守的なアメリカ社会で発表された本作は、後の《Piss Christ》(1987)に通じるセラーノの問題意識を先取りし、身体を通して現代社会における信仰、暴力、美学の本質を問う重要作である。
- PROVENANCE
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サザビーズ (香港)、2023年2月22日-3月 1 日




