- CONDITION
-
底面にスタンプサインあり。
作品上部に修復跡あり。
コンディションレポートよりブラックライトを当てた画像をご確認ください。
- DESCRIPTION
-
20世紀を代表する陶芸家ルーシー・リー(1902–1995)。オーストリア・ウィーンに生まれ、ウィーン工芸美術学校で陶芸を学び、1930年にはウィーンに自身のスタジオを構え、カラフルな器や無釉の炻器など、実験的な制作を展開した。その活動は早くから高く評価され、1937年にはパリ国際博覧会で賞を受賞している。しかし、1938年のナチス台頭を受けイギリスへ亡命。以降は、ロンドンを拠点にハイド・パーク近くに工房を構えて生涯制作を続けた。戦時下には、それまでの器づくりから一転し、セラミック製のボタンや傘のハンドルを制作して生計を立てた。
1940年代には弟子ハンス・コパーを迎え、共に展示へ参加するなど協働して活動を広げていった。1960年代は、リーにとってキャリアの基盤が確立された時期である。テーブルウェアから一品制作まで幅広く手がけ、ウィーンやロンドンのモダニズムを吸収しつつ、しなやかでありながら芯の強さを備えた独自の造形スタイルを固めていった。
本作は、リーの代表的な技法である“釉薬”と“掻き落とし”が施された花瓶であり、極めて貴重な一点である。1950年代にはイギリスの陶芸家バーナード・リーチと出会い、その縁で濱田庄司らとも交流を深め、展覧会を共に開催するなど、日本との関わりも深い。1989年には草月会館でとの展示を開催し、日本においても広く名を知られる存在となった。
本作品は、リーの没後20年という節目に行われた回顧展の一環として、2015〜2016年に茨城県陶芸美術館、千葉市美術館、姫路市美術館、郡山市美術館、静岡市美術館の5館を巡回し展示された、リーのキャリアにおいても重要な作品である。
- LITERATURE
-
「没後20年 ルーシー・リー展」日本経済新聞社、2015年、P. 115、No. 77
- EXHIBITED
-
「没後20年 ルーシー・リー展」2015年4月11日-6月21日、茨城県陶芸美術館;7月7日-8月30日、千葉市美術館;10月31日-12月24日、姫路市美術館;2016年1月16日-3月21日、郡山市美術館;4月9日-5月29日、静岡市美術館





