- CONDITION
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非常に良好。
裏の左上にサイン、タイトル、制作年。
- DESCRIPTION
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静岡県出身の門田光雅は、絵画というメディウムが内包する「地と図」「色彩と筆致」といった根源的な関係性に向き合いながら、その限界と可能性を探り続けてきた。
初期の代表的な作品である《稲喰》では、畝る波のように伸びやかな筆致と鮮やかな色彩が、画面の中で呼吸するように共鳴し合い、作家自身の内面にある葛藤や感情の揺らぎを映し出している。
本作が制作された頃の展示「俯瞰する樹形図」(2009年、遊工房アートスペース/東京)で、門田は次のように語っている。
「私が生まれ育った故郷の、海のそばの母の実家のことをモチーフにした展示です。小さい頃、私の遊び場は砂浜や漁港で、そこは、海風から農作物を守るための防風林が隙間なく続いていて、それはまるで海と日常を隔てているように見えました。
またその実家には昔、倒れて根がむき出しになった楠の木があって、その隙間には沢山の蟹が巣穴を作り群れていたことなどを、私はうっすらと覚えています。幼い頃の原風景と、今日の私の中にある解きほぐす事のできない感覚が、不思議と結びついている気がしています。」
幼少期の記憶と絵画的思考が結びつくこの作品には、自然や時間、記憶といったテーマが繊細に重なり合い、門田の後の制作へとつながる重要な契機が見て取れる。
- PROVENANCE
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M画廊 (栃木)
- LITERATURE
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「MITSUMASA KADOTA works 2005-2016」M画廊、2016年、p. 16、no. 14
- EXHIBITED
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「俯瞰する樹形図」2009年5月7-24日、遊工房アートスペース (東京)






