- CONDITION
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非常に良好。問題なし。
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2023年12月から2024年3月にかけて東京都現代美術館で開催された大規模個展「発生法ー天地左右の裏表」も記憶に新しい豊嶋康子 (1967-) は、日本を代表する現代美術家の一人である。その作風は、コンセプチュアル・アートに近い印象を与える側面があり、これまでの代表作品には、《マークシート》や《鉛筆》、《口座開設》、最近のもので《隠蔽工作》、《パネル》などがある。その多岐に渡る作風にもかかわらず、その芸術的実践は、制度や価値観、約束事といった枠組に対して「私」という視点から他人と自己の成り立ちの在り様を問い続ける、一貫した対峙の姿勢がある。
本作品《色調補正3》は、個展「発生法ー天地左右の裏表」でも発表された《色調補正》のシリーズの1つ。《色調補正 1》では、一般的に共有される色の体系を「私」の設定のもと、ひたすらに塗り替えることを試みている。それらはいずれも、いわゆる既成の仕組みや 枠組み、順列などに対して、脈絡を守りつつ「私」を用いて別の見方を挿入し、本来の意味作用を逸脱させ、歪ませ、反転や空回りをさせることで、その構造と私たちの認識や体験の「発生」を捉えようとするものだといえる。
本作品は、2008年に制作され、透明な作品ケースに油性マジックインキで色をつける。透明ケースを「絵」の支持体とし、透明ケースの中のモノがその「絵」の色を通った光によって色分解される。その光の影響を受け、壁に映しだされる色の影も美しい作品だ。
- PROVENANCE
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M画廊 (栃木)