- CONDITION
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非常に良好。問題なし。
裏の上部にサイン、タイトル、制作年。
- DESCRIPTION
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中村一美は、1980年代より活躍している日本人画家である。アメリカ抽象表現主義を研究し、東アジアの伝統的絵画に見受けられる空間の表現方法や記号的・象徴的役割を果たす形象文字などに着目し、具象と抽象の絶妙的なバランス感の色彩豊かな絵画作品で広く知られている。また言語の意味にあるように、絵の意味は別の絵との差異の中にしか存在しえないという認識論を唱え、「示差性の絵画」という概念をもとに制作を展開している。代表的シリーズには「Y型」、「斜行グリッド」、「織桑鳥」シリーズなどがあり、セゾン現代美術館やいわき市立美術館など国内外の美術館で作品を展示、そして主要な美術館に作品が収蔵されている。
存在の鳥は中村が2000年代半ばごろから取り組むシリーズ作品である。
戦争や災害といった悲惨な出来事が頻発する世の中で絵を描くことの意味を模索していた時に取り組み始めたプロジェクトである。「存在は飛翔しなければならず、飛翔し得るもののみが存在である」と語ったように、中村は、画面を通してあらゆる存在の飛翔を描き続ける。本シリーズは中村の制作するシリーズの中でも300点を超える最大の連作群となっており、鳥という古代から関係性を持つ存在の原型的なイメージをもとに様々なパターンが展開されている。本作品《存在の鳥 293》は、その一環として2012年から14年にかけて制作された典型的な中村の《存在の鳥》であり、鮮やかな黄色が特徴的な存在が飛ぶ姿が描かれている。
- PROVENANCE
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M画廊 (栃木)