- CONDITION
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良好。
全体に経年による汚れあり。
- DESCRIPTION
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第二次世界大戦後、アンフォルメルといった「熱い抽象」に対し「冷たい抽象」と呼ばれてきた幾何学抽象。堀内正和(1911-2001)は、半世紀以上にも渡る作家人生の中で、幾何学抽象を追い求めてきた戦後日本の抽象美術にて存在を放ってきた彫刻家である。20年代から彫刻家として発表をはじめ、哲学や西洋の美術書などにも精通していた堀内は、50年代にはフランスのフランスの幾何学抽象に焦点を当てた雑誌「アール・ドージュルディ」を購読し、画家エドガー・ピエらから影響を強く受け、鉄に溶接を施すことで彫刻を制作するようになる。意識の作用から形作られる芸術の理念へと重きを置き、形の原理と向き合うことで、独自の彫刻の在処を見出していった。
本作品《立方体のそとがわ》は、1990年に制作された晩年期の作品である。複数に連なる三角錐、立方体の面と頂点が出会うことで構成される本作は、一定の視点によると立方体を形成する。スチールの帯びる反射の作用によって側面が顕になったその洗練されたフォルムは、作家の典型的な彫刻作風を帯びている。
- EXHIBITED
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「冨井大裕・堀内正和: 拗らせるかたち」2023年6月17日 - 8月5日、Yumiko Chiba Associates (東京)