- CONDITION
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良好。
タグにサイン。
全体的に汚れあり、シールに擦れと色褪せあり。タグに破れあり。
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三上晴子(1961 - 2015)は、日本のメディア・アートを牽引してきたアーティストの一人であり、80年代には、身体性と情報社会をテーマに作品を手がけてきた。90年代からは知覚のインターフェイスを用いて、〈被膜〉をテーマに、インタラクティブな作品を発表してきた。代表的な作品には〈目線〉を視る作品《視線のモルフォロジー》(2011)や、聴覚と身体内音を用いる作品《存在、皮膜、分断された身体》(1997)などがある。
1993年、三上は東京早稲田にあったNWギャラリーで開催した個展『被膜世界: 廃棄物処理容器』中にて本作品を披露し、ベルトコンベアーを連想させる台の上に並置された6点のスーツケースと合わせて展示した。それぞれのスーツケースは、汚染廃棄物を指し示す記号を覆った容器が詰め込まれている。そして、本作品の表面には、汚染された実験用動物を指し示す内容のステッカーが貼られてあり、鑑賞者の不安を煽る。 多様な皮膜からなる世界が複雑に絡み合いながら存在している、という仮定の元、芸術作品を発表してきた三上。三上は、本作を通して、グローバルな現代情報社会で我々が普段直視しない皮膜側面を、記号という概念を通して問題提起を図った。コロナ禍を経た我々にとって、後の時代を予期していたかのような作家の意図が垣間見れる。本作は、2020年にCapsule Gallery(東京)にて再披露されるなど、今なお注目され続けている。
- LITERATURE
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「キュレーターズ・アイ '93 vol.1-6」ギャラリーNWハウス、1993年、p. 20、no. 17
- EXHIBITED
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「被膜世界: 廃棄物処理容器」1993年4月21日 - 5月3日、ギャラリーNWハウス (東京)