- CONDITION
-
非常に良好。問題なし。
- DESCRIPTION
-
2012年に東京藝術大学を卒業後、小山登美夫ギャラリーに見初められ、華々しく作家デビューを果たすも、期待の画家として羨望されていた矢先に不慮の水難事故で消息不明となり、わずか25歳の若さで帰らぬ人となった夭逝の画家、中園孔二 (1989-2015)。 最近では、2023年に丸亀市猪熊弦一郎現代美術館で開催された「中園孔二 ソウルメイト」展での話題が記憶に新しい。同展は、わずか8年の作家人生の中で600点にも及ぶ作品を遺した中園の過去最大規模の展覧会となった。没後10年が経とうとしている今もなお、その作品とミステリアスな作家人生への注目は衰えない。定着した作品のスタイルといったものが明確には存在しないと言われる中園の作風であるが、その理由には多彩な技法を応用してきたことがある。絵画を「外縁をつくって、中に景色を描く」と語ったように、素材の使い方次第で、モザイクのような氾濫するイメージの中から景色が立ち現れるような感覚を観る者へ与える。
本作品は、53×33cm大の制作年不詳の油絵作品である。作品全体を埋め尽くす、緑をはじめとするボカシ加工が施された背景色。注視すると、ゴーストのような複数の顔が入れ子のように描かれている。ニュートラルさを示唆する色として緑は中園の作品の中でしばしば登場してきた。本作は、小さいながらも、中園が常用してきた絵的要素が組み込まれた典型的な作品であると言える。
- PROVENANCE
-
小山登美夫ギャラリー (東京)