- CONDITION
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背面の下部分にサイン、タイトル、制作年。
所々経年によるひび割れや傷あり。
- DESCRIPTION
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彫刻やインスタレーションを中心に国際的に高い評価を受けている日本の現代美術家・植松奎二(1947-)は、自然や地球、宇宙といった世界の構造と私たちの存在、その相互関係について模索する。70年代の観念的な作品群から、近年の国内外での野外彫刻の設置に至るまで、彼は一貫して、木、石、布、金属といった素材を用いて空間を異化させることで、重力や引力といった普遍的な力を可視化し、それによって成り立つ世界との関係性を問いかける。1988年には、第43回ヴェネツィア・ビエンナーレで日本代表作家に選出された。
木という自然素材が持つ柔軟性と強度を通じて、重力が作品全体にどのように作用するかを視覚的に示す本作品。木材は成長する過程で自然に重力に逆らいながら立ち上がる一方、時間の経過とともに朽ちて再び重力に従い、地に還るという循環を象徴する。作家はこの性質を作品に取り入れ、木材の自然な形状や曲線を生かしながら、重力の影響で生じるテンションやバランスを体現し、木材が自然とどのように調和し、同時に重力に従うかを視覚的に探求する。本作品は、観る者に自然との共生や時間の流れを感じさせる静謐さを内包している。