非常に良好。問題なし。
箱の正面左上にサイン、タイトル、制作年。

毛利悠子（1980 - ）は現在開催中の第60回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展、日本館で個展を開催するなど国内外で活躍する現代アーティストである。毛利の作風は、音響、レディメイド、キネティックな要素を総合的に捉えて構成することで描き出す「事象」に焦点を当てたインスタレーション作品で広く知られている。音やサウンドアートにおけるテンポのある制作のリズムなどからも影響を受けており、毛利は、内在する空気感、場所のコンテクスト、そして現地で見つけたオブジェクトなどを取り入れながら、その空間に呼応するように即興的に作品を構成していく。

《Sadly（悲しげに）》と題された本作は、真鍮製電飾燭台、白熱電球、ケーブル、モーター、変圧器、蝋といったオブジェクト達によって構成される。キャンドルから垂れたケーブルの先から弱々しく点灯する電球、そしてモーターとその先に取り付けられた針金が回転し隣接する燭台と摩擦することで、空間中に物静かな音を鳴らす。そんな「電流」によって命を吹き込まれたアクター達によって描き出される微かな事象は、空間中に悲しげな空気感を取り巻いている。本作は、2021年にAkio Nagasawa Galleryにて開催されたオンラインエキシビション中にて展示された。

Akio Nagasawa Gallery (東京)