NEW 007

018
ARAKI Takako,1921 - 2004
荒木 高子

Work: 円シリーズより

c.1969

黒陶、鉄

54.0 × 49.0 × 6.7 cm

ESTIMATE :
$7,100 - $10,700
CONDITION

良好。
経年による僅かな汚れあり。

DESCRIPTION

華道未生流宗家の元に生まれた兵庫県出身の荒木高子 (1921-2004) は、戦後日本を代表する女性陶芸彫刻家である。陶芸作家としての道を進み始めたのは意外にも遅く、1961年に渡米した際には、アート・スチューデンツ・リーグ・オブ・ニューヨークで彫刻を学んだ。しかし、1956年には、大阪に白鳳画廊を開廊するなど、それ以前より前衛芸術とは積極的に関わっており、同画廊は、4年間にわたって関西の若手前衛美術家へ発表の場を提供してきた。

作家の最も代表的な作品として「聖書」シリーズが挙げられる。荒木は、実兄が結核で死去した1978年以降に同シリーズの制作に取り組むようになり、同シリーズを契機に国内外で高い評価を得るようになる。

陶で聖書を象ることでその深い精神性を体現した聖書シリーズとは一転、本作は、円シリーズの一環として黒陶のみで構成される作品である。釉薬を用いず、炭素の発生を利用することで黒を体現した黒陶は、当時、前衛陶芸グループ走泥社の八木一夫も注目していた技術である。荒木は、1966年に初めて黒陶を発表してから、聖書シリーズへと移行するまで同シリーズに取り組んできた。本作は、先達の前衛陶芸家からの影響を強く感じさせ、表象としての陶と真っ向から向き合い続けてきた、荒木高子を代表する初期の作品である。

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