- CONDITION
-
各パネルの裏にサイン。
左パネルの2箇所に亀裂、ひび割れ破損あり。
- DESCRIPTION
-
69年に結成された反体制運動「美術家共闘会議」の主要メンバーとして活躍した彦坂尚嘉(1947 - )は、既存の美術表現にまつわる制度を問い直すことで、コンセプチュアル・アートを牽引してきたアーティストの一人である。その代表的な作品には、自宅の床にラテックスを撒き散らして、乾くまでの一連の行為を記録した《フロア・イベント》(1970年)などで知られている。
70年代後半、上述運動の活動が終盤を迎えると、彦坂は、新たな絵画を模索するべく、《プラクティス》(実践)という概念の元、ウッドシリーズを展開していくようになる。俳句の句のように、カラフルな絵の具が塗られた複数の支持体(木)と組み合わせることで描かれた作品は、60年代に一度非物質化していった美術表現を再解釈する作業としての意味合いを持つ。1985年に制作された本作は、上述のシリーズの一環であり、絵の具の被膜と切り抜かれ、刻み込まれた3枚の支持体の凸凹からなる具体性を保持した概念的な絵画作品である。本作品は1987年にブラジル、サンパウロで開催された「第19回 サンパウロ・ビエンナーレ」に出展され、彦坂の作品のなかでも極めてモニュメンタルな作品であると言える。
- EXHIBITED
-
「ソウル・アジア現代美術展」 1986年、ソウル国立現代美術館 (ソウル)
「第19回 サンパウロ・ビエンナーレ」1987年、サンパウロ近代美術館 (サンパウロ)