- CONDITION
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非常に良好。問題なし。
各作品裏にサイン、タイトル、制作年。
- DESCRIPTION
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静岡県出身の門田光雅(1980- )は、絵画の伝統的な問題である、メディウムの限界、地と図、あるいは色彩と筆致の相対的な関係に焦点を当て、絵画表現における新たな地平を探求してきた。畝る波のように伸びやかで鮮度のある色彩は自身の葛藤や感情の揺らぎを表現している。Cy Twomblyの甥にあたり著名なコレクターであるCody Franchetti氏から「門田の作品は多色だが、一つの色彩の概念としてまとめられている」と評価を受け、2019年末に、MOMAのサポートのもとNYリンカーンセンター内で大規模な個展を開催。M画廊(栃木)をマザーギャラリーに、セゾン現代美術館(長野)に所蔵されるなど、今後の活躍が注目されている。
キャンバスを台上に置き、ヘラ等で絵の具の層を掘り起こすように制作される作品は、地と図は明確に分かれず、それぞれの色彩を保ちながら響き合っている。2016年に描かれた本作品《色彩の川 8》は2014〜2017年にかけて制作された<色彩の川>シリーズのうちの一点で、作品の間隔を空けて展示する方法が取られるようになる最初期の作品だ。『多面体(2021年)』『blank space(2022年)』や、今春開催のM画廊での個展で発表される 『space-time(2023年)』につながる重要な作品である。色彩の一部は全体であり、全体は一部として有機的に絡み合う。門田が考える「部分と全体」の関係が、相反と超越のせめぎ合いのなかで、見る側の先入観を揺さぶる。
- PROVENANCE
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M画廊 (栃木)
- LITERATURE
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「門田光雅作品集2」M画廊、2018年、p. 45、no. 9