- CONDITION
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良好。
下部中央にサインと制作年。
左上部の縁の紙の折り込みの剥がれあり。 裏面上部に糊付けの跡あり。
- DESCRIPTION
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ブリンキー・パレルモ (1943-1977) はドイツ、ライプツィヒに生まれ、1962年デュッセルドルフ芸術アカデミーに入学、1964年からヨーゼフ・ボイスの教室で学ぶ。仲間の学生にシグマー・ポルケ、イミ・クネーベル、ゲルハルト・リヒターらがいた。ピート・モンドリアン、カジミール・マレーヴィチらの抽象絵画から影響を受けたパレルモの芸術的関心は、絵画の矩形性や色と形の関係、イメージとオブジェクトの対立など、絵画の根源的な在り方の探求へと向かい《Stoffbilder (ファブリック絵画)》や《Metalbilder (メタル絵画)》など一連の代表的作品に具体化された。その一方で、パレルモはその短い生涯に多数のドローイング作品を制作し、絵画の場合と同様に素材そして支持体としての紙の特性を活かしながら、慣習的なドローイングの在り方に根源的な問いかけを行った。
紙を使った本作品も、その作例の一つ。作品は、B1サイズほどの茶色の紙を八折りし、それを開いて二つ折りしたもの。上層面は大きく切り取られ、左下に小さく残された部分にフェルトペンで書きつけられたメモのような数字が見える。その一方で、上層面の切り取られた大きな空間には、下層面の、実際に紙が折られた折跡を示す現実の物としての紙の存在が露呈している。物質としての紙を欠いては存在し得なかった本作品は、パレルモの造形手法をよく示す作例の一つである。
- PROVENANCE
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Galerie Paul Maenz (ケルン)
Helmut Anton、Margot Krätz (フランクフルト)
Sotheby's (ニューヨーク)
個人蔵
- LITERATURE
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「Blinky Palermo: Complete Works」 Octagon Press、1995年、no.392