- CONDITION
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非常に良好。問題なし。
座面に僅かな擦れあり。
- DESCRIPTION
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20世紀のアートシーンにおけるミニマリズムのその影響力は、ドナルド・ジャッド (1928 - 1994)のその象徴的作品《Corner Chair 15》をとってみても明白である。1950年代アメリカの抽象表現主義を取り捨て、物質性、透明性や自律性へと焦点を移行していったジャッド。1965年には、自身の立体作品の公約書とも言える『スペシフィック・オブジェクト (明確な物体)』と題するエッセイを発表する。作品をカテゴリーという区分から解放し、空間を占有するものとして捉えることで、彫刻、絵画、家具の役割を総合的に問いただした。これらの複数のジャンルをまたがる作品は、芸術運動において分類しやすいアートとは一線を画し、それぞれが自らを創造の証として、独自の空間を定義する。ジャッドにとって、家具をアートとしての文脈のみに関連づけることは最も避けたいことであった。彼の家具が、他の作品と異なるのは、機能性と合理性の所在にあると言えるだろう。彼の家具制作は1970年代に始まり、10年間で飛躍的な成長を遂げた。
本作品《Corner Chair 15》は、ジャッドの芸術的価値観と家具の機能性が融合した作品であり、厳格で直線的なフォルムは、作品の物質性へと注目を促しつつ、空間におけるその位置間と、形との潜在的な関わりを改めて考えるよう我々に伝えているのである。