非常に良好。問題なし。

台湾生まれ、ロサンゼルス在住のジェイムズ・ジーン (1979 - )は、幻想的で奇妙な世界観を映像、彫刻、絵画、ドローイングなど多角的なアプローチで体現する。イラストレーターとしてキャリアを始め、DCコミックスやマーベルコミックスの表紙を制作し、高い評価を受ける。『The Umbrella Academy』の表紙、マイ・ケミカル・ロマンスのアルバム「Black Parade」のアートワーク、2007年のプラダの壁画、『タイム』誌のイラストレーションなどを手掛け、著名なイラストレーション賞を複数受賞した後、2008年から絵画に専念するようになる。国際的に称賛を得て2019年にはソウルのロッテ美術館で大規模な回顧展「Eternal Journey」を開催。ジーンの作風は、アジアの古典的な芸術技法にデジタルやファンタジーを組み合わせ、ロマンティックな過去と鋭い現代的な視点を融合させる。
本作品 《Dance》(2018)は、踊る花の一見多幸感あふれるイメージが表現されている。擬人化された花たちは、ディズニーのアニメーション『不思議の国のアリス』(1951)を彷彿とさせ、村上隆のスーパーフラットスタイルとも呼応している。このジーンの作風は、争いの絶えない世界で育つことへの現代社会の恐怖としばしば結びついており、作家のノスタルジックな映画の解釈が垣間見れる。村上隆は長い間、ジーンの支援者でもある。

カイカイキキギャラリー (東京)

「AZIMUTH」2018年4月6日 - 5月3日、カイカイキキギャラリー (東京)