- CONDITION
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良好。
裏の右下にサイン、タイトル、制作年。
中央上部、右上部、右中部の縁に若干の剥離あり。
右下裏側角に若干の剥離あり。
- DESCRIPTION
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キャラクター絵画が登場するようになって久しい。そのため、キャラという大衆の(Low)なものがアートという高尚(High)なものと同等に扱われるなど世も末、という論争が存在したことを知る人も、若年層においては減少してきたのかもしれない。
国内におけるオタク文脈に寄った、キャラクター絵画の起点にいるのが2000年代の村上隆であり、自ら提唱したスーパーフラットの論点の一つとして、日本にはHighとLow Artを区別する意識が欧米に比して少ないことを指摘した。次世代として2010年前後に現れたのが梅沢和木らであり、多数のキャラを絵画に持ち込むようになった結果、現在その意識はアジア圏へと広がりをみせている。オタク的なキャラ絵の文脈に加え、ビューティフル・ルーザーズやカウズといった海外ストリートカルチャー文脈という、欧米でLow認定された作品が日本で混在し消化され、境界すら曖昧な作品が生まれ続け、ソーシャルメディア等により国を越えた受容に繋がっていることが、その要因として挙げられる。
本作品《神鬼勃ツ三千世界之画像海》(2016) は、こうした新たな混沌の誕生に寄与した梅沢による、2016年の「風景地獄−とある私的な博物館構想」展に出品された大型作品である。東日本大震災後の福島等という周縁で作品を発表することが多かった梅沢が、東京という中心地で「東京の風景」を改めてテーマに掲げ、六本木ヒルズの展望台から見下ろした東京を背景に、福島や瀬戸内海の写真の他、作家の代名詞とも言えるキャラクターの断片コラージュを施した。さらに漫画の源泉とも言える葛飾北斎や曽我蕭白の引用に、増殖する絵文字やキャラクターグッズの写真もが重なり合い、鬼のごとき造形が中央で構成されている力作である。
- PROVENANCE
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六本木ヒルズ A/D ギャラリー (東京)
- EXHIBITED
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「風景地獄-とある私的な博物館構想」2016年6月24日 - 7月10日、六本木ヒルズ A/D ギャラリー (東京)
「超えてゆく風景」2018年9月1日 - 12月2日、ワタリウム美術館 (東京)