良好。
各作品の左右の余白部分に針の先ほどの穴あり。
各右下にサイン、制作年。各左下にエディションナンバー。

瞑想的なミニマリズムの巨匠である李禹煥(1936-)は、鑑賞者や作品、それらが置かれた空間との関係性に焦点を当てた革新的な制作作品と、制作過程の支配的概念に挑戦する哲学的な著作で世界的に広く知られる作家である。反権威主義や反植民地主義の影響を受け、アジアの美学と哲学をヨーロッパのミニマリズムやアール・ポヴェーラの手法に応用した作品制作を試みた韓国・咸安国生まれの李。のちに戦後の混乱期に日本で起こった芸術運動「もの派」の先駆者として主要な理論家、実践者となる。「もの派」と呼ばれる作家たちのように素材や知覚、空間、物質の相互関係を重視し、特に生素材や自然素材、工業素材をわずかな操作で作品化することを得意とする。
本作品「From Point From Line (Print No.32-39)」は、今日のアートマーケットにおいて入手困難で貴重な8点の限定リトグラフとオリジナルポートフォリオケースの独占コンプリートセットだ。脈打つような表情や静止した線と点が描かれた作品は、それぞれ異なる精神が宿る非常にミニマルであり、作家の忠実な禅の精神が込められている。

シロタ画廊、東京

「Lee Ufan Prints 1970-2019」 阿部出版、2019年、p.48 - 53、no. 32 - 39

「個展」1978年1月6日 - 1月14日、シロタ画廊、東京