NEW 005

034
Peter VOULKOS,1924 - 2002
ピーター・ヴォーコス

Untitled

1995

炻器

Φ53.3 × 12.7 cm

ESTIMATE :
$6,700 - $12,000
CONDITION

非常に良好。問題なし。

DESCRIPTION

ギリシャ系アメリカ人アーティストのピーター・ヴォーコス (1924-2002) は、アメリカ陶芸界で最も影響を与えた人物の一人とされ、そのモニュメンタルな抽象彫刻は、工芸品としての陶芸をファイン・アートの領域へと幅を広げることで陶芸の認識を再定義した。ヴォーコスはまた、ロサンゼルス・カウンティ・アート・インスティテュートとカリフォルニア大学バークレー校で陶芸を教え、陶芸科を設立した。

ヴォーコスは、商業陶芸家としてポットや皿といった機能性のある器を長年制作した後、ノースカロライナ州のブラック・マウンテン・カレッジで3週間の夏期コースを教える機会をえる。そして、このコース中に彼は、ヨゼフ・アルバース、ロバート・ラウシェンバーグ、マース・カニングハム、ジョン・ケージといった人物らを紹介され、後に当時の抽象表現主義を代表するアーティストらと関係を築いていくこととなる。この出会いは、ヴォーコスのその後の作風の軌跡へと大いなる影響を及ぼし、彼はルールや伝統に縛られない、表現的で彫刻的なメディウムとして粘土を扱うようになり、その作風を永遠に変えることとなる。熱狂的なエネルギーに満ち溢れたヴォーコスの作品は、粘土を引き裂き、叩き、切り、えぐる、という手順を踏み穴窯で焼成することで、制作過程におけるダイナミズムを内包している。彼の抽象的で巨大な陶芸は、実用的な機能をすべて失うことで、粘土からできた抽象彫刻へとその姿を変えたのである。生前には、しばしば学生のためにワークショップを開催してきたヴォーコス。彼のまるでパフォーマンスを思わせるエネルギッシュな制作過程は、後世の陶芸作家たちに大いなるインスピレーションを与えた。

本作品は、1995年に制作された皿で、日本の楽焼に倣った薪窯で焼かれている。1980年代以降、ヴォーコスは小ぶりな器や皿など、ろくろを使った制作を再開する。本作品は、その形状から皿であることは認識できるが、裂かれた塊、不揃いな形、ひび割れた表面からは、大作と同様のエネルギーが感じられる。

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